
ガソリンスタンドを利用したとき、店員からこのような声をかけられたことはありませんか?
タイヤの空気圧が低くなっていると、乗り心地や燃費に影響が出たり、タイヤの劣化を早めてしまうため、定期的な点検が必要です。
ガソリンスタンドでは、サービスの一環として無料で空気圧の点検をしてくれます。
ただ、悪質なガソリンスタンドの場合、この空気圧点検を利用して詐欺まがいのことをしてくる恐れがあります。
善意のサービスのふりをして空気圧チェックを提案し、タイヤが危険な状態であると嘘をついて、まだ使えるはずのタイヤを半ば強引に交換させてしまうのです。
車に詳しくない人だと、

と不安をあおるような言い方をされると、店員に従ってその場でタイヤを交換してしまうと思います。
私自身、過去にガソリンスタンドで空気圧点検をしてもらったところパンクを指摘され、タイヤ交換をしてしまったことがあります。
決定的な証拠はありませんが、「アレは詐欺だったのかな…?」と、今でも忘れられません。
同様の事例は多数報告されていて、国民生活センターにも相談が寄せられているほどです。
市外へ出かけた際、給油価格が安かったので有人のガソリンスタンドに立ち寄った。給油中に店員が「タイヤの空気圧に異常がある。パンクの可能性がある」と言ってきた。タイヤは溝がすり減っておらず走行距離も1万キロなので交換の必要はないと思ったが、「素人にはわからない。危険な状態だ。このままでは事故になる」とタイヤを外して点検しながら言われ、断りきれずタイヤ交換を了承してしまった。前輪2本の交換で約3万5千円を支払った。(60歳代 男性)
全てのガソリンスタンドでこのような詐欺まがいのことが行われているとは思いません。
しかし、一部の悪質なガソリンスタンドでは、空気圧点検を利用してタイヤ交換を迫ってくる可能性があります。
少しでもおかしいと感じる点があれば、その場ですぐに信頼できる人や普段お世話になっているディーラー・整備工場に連絡することをおすすめします。
【体験談】ガソリンスタンドで空気圧の点検をしてもらったら、急遽タイヤ交換することになった
これは数年前の話です。
給油のために寄ったガソリンスタンドで、全く予定していなかったタイヤ交換をする羽目になりました。
キッカケは空気圧点検をしてもらったこと。
本当にタイヤ交換が必要だったのかは、今となっては確認のしようがありません。
しかし、冷静に振り返ってみると、「何だか怪しいな…」と感じる部分も多いです。
はっきりと「これは詐欺だ!」とは断定できませんが、実際に私が体験した“空気圧点検からタイヤ交換に至る流れ”をまとめておきます。
もし自分が同じ状況に陥ったらどう対応するか、考えながら読んでみてください。
給油作業中に「空気圧の点検しましょうか?」と声をかけられる
給油のためガソリンスタンドを利用したときのことです。
いつもは自宅付近で給油するのですが、その日は遠出していたため、帰り道にあったガソリンスタンド(セルフ式)にたまたま寄ることになりました。
セルフのガソリンスタンドでは基本的に店員が近寄ってくることは少ないと思います。
ただ、その店舗は違いました。
車から降りて給油機の操作をしている私に、店員の方から声をかけてきたのです。

点検自体は無料ですし、特に急いでいるわけではなかったので、深く考えることなくお願いすることに。
私はそのまま給油作業を続け、店員はその間にタイヤの点検をしているようでした。
給油が終わる頃、空気圧チェックを終えた店員が再び私の元にやって来て、タイヤに異常があることが伝えられました。

パンクの疑いがあり、リフトアップして詳しく調べることに

話を聞くと、どうやらパンクの可能性があるとのことでした。
店員はさらに話を続けます。

正直、車に乗っていて異変を感じるようなことはありませんでした。
ですが、私が気付いていなかっただけという可能性もあります。
本当にパンクしていたら大変なので、とりあえずリフトアップして点検してもらうことにしたのです。
そして、車はスタンド内の作業スペースに移動させられ、私は待合室で待つように言われました。
待合室でしばらく待っていると、作業していた店員が戻ってきます。

脅されるような形で、タイヤ交換してしまう
店員に連れられリフトアップされた車の元へ向かうと、タイヤは4本全て外された状態でした。
取り外したタイヤの内の1本を指差しながら、説明を始める店員。

釘かどうかはわかりませんでしたが、確かにタイヤに何かが刺さっていることは確認できました。
店員の説明によると、走行中に釘を踏んでパンクしてしまうのは珍しくないとのこと。

そのままタイヤの交換を勧められます。
私の記憶が正しければ、パンク修理についての話は一切ありませんでした。
このガソリンスタンドにはたまたま給油に寄っただけで、タイヤ交換することになるとは全く想像していませんでした。
タイヤ交換となると費用もそれなりにかかってしまうため、即決できずに悩んでいたのですが、

もしタイヤがバーストしたら事故になりますよ!
と、店員は不安をあおるようにタイヤ交換を勧めてきました。
今交換しておかないと危険だと何度も言われ、もしものことを考えてタイヤの交換をお願いすることにしたのです。

結局、私はその場でタイヤ4本(約34,000円)を交換することになりました。
冷静になって振り返ると、不審な点がある
タイヤ交換の選択をしたとき、私はかなり動揺していました。
当時の私は、整備に関してディーラーや整備工場に丸投げで、車についての知識はほとんどありませんでした。
そんな無知の状態で、突然、パンクしていて危険だと言われ、頭の中はパニックだったのです。
そして、相手をプロだと信じていたこともあり、言われたとおりにタイヤを交換してしまいました。
車に詳しくない人だと、私と同じように促されるまま交換してしまうのではないでしょうか?
ただ、改めて振り返ってみると、
- 作業しているところを直接見ていない
- タイヤから空気が漏れていることを確認していない
- 本当にパンクしていたとしても4本まとめて交換する必要がない
など、「タイヤを売りたかっただけじゃね?」と思うような怪しい点がいくつもあります。
店員が作業している様子を直接見ていない
最初に空気圧を診てもらったとき、私は給油中だったので、店員が作業しているところを手元まで詳しくは見ていませんでした。
給油口と反対側で作業していたときは完全に死角になっています。
リフトアップで点検してもらっているときも、私は待合室で待たされていたため、どのように点検しているのか把握していません。
そして、店員が呼びに来たときには、全てのタイヤが外された状態でした。
全ての作業が私の見ていないところで進められていたのです。
極端な話、私が見ていない隙にタイヤに細工することも十分可能だったのではないでしょうか?
パンクしたタイヤから空気が漏れていることを確認していない
パンクが判明したとき、「釘が刺さったことでパンクした」という説明がありました。
しかし、口頭で説明を受けただけで、実際に空気が漏れている様子は確認していません。
本来であれば、パンクしている箇所に石鹸水をかけて、本当に空気が漏れていることを確認する必要があったはずです。
あのタイヤは本当にパンクしていたのでしょうか?
そもそも1本だけ空気圧が低かったというのも本当なのでしょうか?
パンクしていたとしても4本まとめてタイヤ交換する必要はない
タイヤ交換をした約2ヶ月前に車検を受けています。
車検を受けたときのタイヤは、新品ではないものの溝がまだ残っている状態でした。
そこから2ヶ月で、全てのタイヤが交換が必要になるほど擦り減るとは考えにくいと思います。
パンクしていたのが本当だったとしても、4本まとめてタイヤ交換する必要はなかったはずです。
もちろん4本交換することに承諾した私にも責任はあります。
しかし、パンクに乗じて詳しい説明もせずにタイヤ交換を迫るのは、過剰なセールスと言えるのではないでしょうか?
良心的な店舗であれば、パンクしたタイヤ含む2本だけ交換して、新品タイヤが前輪になるようにローテーションする、という提案もできたと思います。
私が待合室にいる間にタイヤを全て外していたのは、はじめから4本まとめて交換させることが狙いだったのではないでしょうか?
ガソリンスタンドでのタイヤ交換詐欺の事例
私の体験談だけでは、おそらく信憑性が薄いと感じてしまうかもしれません。
「ガソリンスタンドがそんな詐欺まがいのことするわけないだろw」と思う人もいるでしょう。
ただ、この手の話は調べるとたくさん出てきます。
中には、ガソリンスタンドでパンクと指摘されたタイヤを、改めてディーラーで点検してもらうと全く異常なかった、という話もあります。
実際にガソリンスタンドで詐欺未遂にあった事例を紹介します。
【事例1】タイヤに釘が刺さってパンクしている⇒ディーラー「パンクしてません」
- ガソリンスタンドで店員から無料点検を提案される
- 点検してもらうと、「タイヤに釘が刺さってパンクしている」と言われる
- 不安をあおってタイヤ交換を迫る店員
- 不審に思い、タイヤ交換を断って近くのディーラーに駆け込む
- ディーラーで点検してもらうと、タイヤに刺さっていたのは針金で空気漏れもなくパンクはしていなかったことが判明
詳細はこちら
【事例2】バルブが弱って空気が漏れている⇒ディーラー「異常なし」
- 給油のついでにタイヤの空気圧チェックをお願いする
- 後輪の空気圧が極端に減っていたらしい
- 詳しく調べてみると、バルブが原因で空気が漏れているとわかる
- バルブだけでなくタイヤ交換も勧める店員
- 交換を断り、車を購入したディーラーへ
- ディーラーで点検してもらうと、バルブに異常はなかったことが判明
詳細はこちら
ガソリンスタンドはガソリン以外の商品を売ることで利益を上げている
なぜ執拗にタイヤ交換をさせたがるのか?
その答えは簡単で、タイヤが売れると儲かるから。
ガソリンスタンドは、ガソリンだけを売っていたのではなかなか利益が上がりません。
そのため、給油に来たお客さんに声をかけて、他の商品の購入を勧めているのです。
- タイヤ
- バッテリー
- オイル類
- 洗車
ちまちまとガソリンを売るよりも、上記のような“ガソリン以外の商品”が売れた方がありがたいというのが本音でしょう。
このような理由で、ガソリンスタンドでは積極的なセールスが行われているのです、
全てのガソリンスタンドが信用に値しないわけではない
勘違いしてはいけないのが、詐欺まがいのことをしているガソリンスタンドは一部だということ。
セールスの声かけ自体は、どこの店舗でも行われていることです。
しかし、正常なタイヤをパンクしていると騙して交換させてしまうような悪質なガソリンスタンドは僅かだと思います。
もし、この記事を読んで、「ガソリンスタンドの店員の言うことは絶対に信用しない!」と早まった考えをするのはやめてください。
道路を走行中に釘を踏んでパンクしてしまうことは、普通にあり得る話です。
パンクの指摘を無視した結果、大きな事故を起こしてしまっては元も子もありません。
納得できない提案については、店員と話し合うなり、信頼できる人に相談するなりしてください。
そのためにも、相手がおかしなことを言っているかどうか判断できるように、最低限のメンテナンス知識を身に着けておくことが大切です。
まとめ:ガソリンスタンドで空気圧点検してもらうときは店員から目を離してはいけない
ガソリンスタンドに寄ったときに、空気圧の点検を提案されることは珍しいことではありません。
普段自分でチェックしていない人なら、「無料だし、ついでに…」とお願いしてしまいがちです。
しかし、無料でしてもらえる空気圧点検の裏には、タイヤ交換詐欺が潜んでいることを頭に入れておいてください。
無知に付け込んで、騙そうとしてくる悪い奴が存在します。
タイヤの空気圧を点検してもらうときは、絶対に店員から目を離さないでください。