毎年8月に放送されている24時間テレビ。
その中の企画に、芸能人が24時間かけて武道館まで走る「チャリティーマラソン」がありますよね。
走る距離はランナーに選ばれた人の年齢や性別によって毎年異なりますが、100kmを超えるときもあります。
24時間で100kmを走る
これって、どのくらいの難易度だと思いますか?
ネット上では余裕で達成できるという声も多く見られます。
果たして本当にそうでしょうか。
私は趣味でランニングをしていて、フルマラソンの完走経験もあります。
なので、ランナーとしての経験も踏まえて、24時間テレビの100kmマラソンがどれほど難しいのかを考察してみたいと思います。
ペースを計算してみる
「24時間で100km」と言われても、いまいちピンとこないと思うので、1時間あたり何km進めば24時間で100kmを達成できるかを計算してみます。
単純計算した場合
まずは、単純に24時間で100km走るというのをペース換算すると…
100(km) ÷ 24(h)≒ 4.17 (km/h)
1時間あたり約4.17km進めば、24時間で100kmに到達するという結果に。
一般的に大人が普通に歩く速度が時速4kmと言われています。
つまり、ノンストップで24時間歩き続けることができれば、それだけで100km近くの距離に達することになります。
しかし、一度も立ち止まらずに歩き続けるというのは、ほぼ不可能でしょう。
そこで、いくつかの条件を加えて現実的なペースを計算をしてみます。
休憩時間などを考慮した場合
24時間テレビの「チャリティーマラソン」は一般道路で行われているため、信号待ちの時間が発生します。
また、定期的に休憩時間を設けていると考えられます。
なので、これらの“距離が加算されない時間”も考慮して再度計算してみます。
計算するにあたって考慮すべき時間を以下のように設定しました。
- 1時間のうち10分は信号待ちで消費する
- 3時間ごとに30分の休憩時間を設ける
要するに、「3時間走る(実質2時間30分)→30分休憩→…」の繰り返しです。
このルーティーンで24時間100km走るとすると、24時間のうち走っている時間は17時間30分となります。
これをペース換算すると…
100(km) ÷ 17.5(h) ≒ 5.71(km/h)
1時間あたり約5.71km進めば、24時間で100kmに到達するという結果に。
このペースは走るというよりは早歩きです。
つまり、信号待ちや休憩時間を考慮したとしても、早歩きを続けることができれば、24時間で100kmは達成可能ということになります。
単純にペースだけを見れば余裕そうに思えますが、本当にそうでしょうか?
難易度を上げる3つの不安要素
確かにペースだけを見た場合、1時間あたり約5.71kmという早歩き程度のスピードでも達成可能なので、簡単そうに思ってしまうかもしれません。
しかし、実際にはそう甘いものではないと思います。
その理由が以下の3つ。
- 8月に行われること
- 選ばれるランナーの走力不足
- 100kmという未知の距離
これらの理由によって、24時間テレビの100kmマラソンは簡単とは言い難くなるはずです。
8月に行われること
まず1つ目は、100kmマラソンに挑むのが8月であること。
24時間テレビが放送されるのは、8月下旬です。
暑さのピークは過ぎているとはいえ、日中の気温は30℃を超えるでしょう。
屋外で立っているだけでも暑さでクラクラしてしまうのに、炎天下の中で走り続けるのは尋常でないほど体力を消耗します。
下手すれば熱中症になってしまう危険すらあります。
暑さによって体力が奪われる夏場のマラソンは、ランナーにとって過酷な環境なのです。
仮に、雨が降っていた場合、暑さは和らぐかもしれませんが、そのときは別の心配をしなければなりません。
雨でシューズの中が濡れてしまうと、足にマメができやすくなってしまうのです。
マメができてしまうと、痛みで思うような走りができなくなったり、フォームを崩してしまう可能性があります。
選ばれるランナーの走力不足
そして2つ目は、選ばれるランナーが100kmを走り切る走力が身に付いていないこと。
ランナーがどのような基準で選ばれているのかは分かりませんが、運動能力の高い人よりも、「この人、ホントに走れるの?」みたいな感じの人が選ばれている印象があります。
近年だと、2016年に林家たい平さん(100.5km)、2015年にDAIGOさん(100km)、2014年にTOKIO・城島茂さん(101km)がランナーとして選ばれています。
普段からランニングを習慣にしているのであればまだしも、まともに運動もしていなかった人が3~4ヵ月のトレーニングで、100kmマラソンに必要な走力や筋力を身に付けるのは困難でしょう。
逆に、無理なトレーニングで故障を抱えてもおかしくありません。
もしマラソンが得意な人がランナーに選ばれた場合、100kmを超える距離を設定されてしまうでしょう。
過去には、間寛平さんが200kmもの距離を走り切っています。
100kmという未知の距離であること
最後に3つ目は、100kmという経験したことのない長距離であること。
おそらく普通の人であれば、100kmもの距離を自分の足だけで移動したことはないでしょう。
もしかしたらフルマラソン程度なら経験があるかもしれませんが、距離としては半分にも満たないですからね。
フルマラソンを走った後に、その疲労を抱えた状態でフルマラソン以上の距離を走ると考えると、その過酷さが分かると思います。
距離を重ねるごとに疲労は大きくなり、短時間の休憩では回復したとしてもほんの僅かです。
走っているうちに膝や足の裏などを痛める可能性もあります。
そして、痛みをかばうような走り方をしていると、別の箇所を痛めるという悪循環に陥ります。
また、これだけの長距離を走るには、途中で食事によるエネルギー摂取をすることが普通ですが、人によっては胃が固形物を一切受け付けなくなる場合もあるのです。
それでもエネルギーの補充をしないと、ハンガーノック(いわゆるエネルギー切れ)の状態になり動けなくなってしまうので、ジェル状の補給食などで無理にでも回復する必要があります。
このように、たとえ万全の体調でスタートしたとしても、暑さによる体力消耗、ランナーの力量不足による故障、回復しない体力、長距離を走ることで想像以上の身体へのダメージが蓄積されていきます。
これらを考えると、24時間で100km走るというのは簡単とは言えないように思います。
もし、トレーニングなしで挑戦したら…
ここまで、24時間で100kmを走ることの難しさを考察してきました。
個人的には、短期間トレーニングしたくらいでは、楽勝と言えるレベルになるのは難しいと思います。
それでも、中には「自分ならこれくらい余裕♪」と思っている人もいるかもしれません。
と思って、ネットで検索してみると、実際に100kmに挑戦されている人がいました。
24時間テレビの100kmマラソンって本当に大変? 検証してみた
最新ランニンググッズを装備すれば「100kmマラソン」を完走できるの? 検証してみた
普段全く運動していない人が、24時間で100kmは可能かどうか検証しています。
無事に達成できたかどうかは、ぜひ上の記事を確認してみてください。
そう簡単なものではないことが分かると思います。
まとめ
24時間テレビの名物企画「チャリティーマラソン」。
100kmを自分の脚で走るというのは、肉体的にも精神的にも過酷なものだと思います。
誰にでもできると思うなら、一度チャレンジしてみてはどうでしょうか。
そうすれば、下手に批判はできなくなると思いますよ。
そうだ100km走ろう!フルマラソンのその先、ウルトラマラソンの世界へ